東京都庁本庁舎5階にて行われた、「ぜん息予防等講演会 子供のアレルギーについて知ろう ~ぜん息と食物アレルギーの正しい知識と対応法~」に行ってきました。
講師は相模原病院の小児科医、今井孝成(いまいたかのり)先生

テーマに照らしてお話を要約すると、以下のようになると思います。
・インターネットに載っているアレルギー情報には誤りもある
・小児科医にもアレルギーについて知らない人が多く誤診が存在する
・アレルギーの治療法は進化しているが最新の医療情報が浸透していない現状がある
今井孝成先生は精力的に子供のアレルギーについての活動をしていらっしゃるようです。
講演会の機会が多いためかお話が上手でした。
ご自身も小児ぜんそくの患者だったという今井孝成先生は、80分という限られた時間のなかで情熱的に(少々早口で)驚くべき量の情報を話してくださって、子供のアレルギーについての講演をお願いするならこの人。と感じました。
子供のアレルギーについての基本的な知識をカバーし、膨大なデータを図表化したスライドを次々に例示するというだけでも素晴らしいのに、特に優れていたのはそこに標題を裏切らない一貫したテーマ、子供のアレルギーについてよくある誤解を次々に解き明かしてくれたことではないかと思います。
メモを見て抜粋をあげようと考えていましたが、量の多さが第一の特徴だと感じましたので、
(読みにくいとは存じますが)ここに列挙します。
■具体的な【アレルギーについてよくある誤解】の例
- ・抗原強弱表には医学的根拠がない。
- ・セット除去の必要はない。
- 牛乳アレルギーだから牛肉もアレルギーだ、卵アレルギーだから鶏肉アレルギーでもある、etc.
- ・類除去も意味がない
- (大豆アレルギーだから全ての豆類を除去する、etc.
- ただし海老・カニ・イカ・タコのアレルギーには関連性が認められる)
- ・あくの強い食物を除去しなければならない、ということはない
- ・乳製品は、加工品によって乳タンパクの量が違う
- ・卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンは打てる
- ・豆アレルギーで一番多いのはピーナッツ(落花生)
- (ピーナッツ(落花生)はナッツではなく豆)
- ・回転食も効果がない
- ・加熱が食物アレルギー対策として有効なのはごく一部の食物
- (鶏卵、果物類、野菜類、魚卵)
- ・発酵が食物アレルギー対策として有効なのはごく一部の食品
- (醤油にふくまれている小麦(大豆も大部分)、魚類(魚醤など))
- ・油脂、糖類は基本的に食物アレルギーの原因とならない
- (大豆油、ゴマ油、ショ糖、入党、果糖など)
- ・少なくとも妊娠・授乳中の予防を目的とした除去の有効性はない
- ・減感作療法が効きやすい物質とそうでない物質がある
- ・一般的に指標にされている特異的IgEの数値の解釈が医師によって何通りもある。
- (血液検査では「食べられそうか、食べられなさそうか」という程度しかわからない
- ・皮膚テストもあてにならない。皮膚から入る方が経口よりもダイレクトなのでずっと陽性になり続ける
- ・食物アレルギーを確定させるには負荷テストしかない
- ・アナフィラキシーとアナフィラキシーショックは違う
- ・アナフィラキシーショックはそばやピーナッツが起こりやすいが、アレルギー患者が多い卵・牛乳・小麦のほうが患者数は多い。
- ・アナフィラキシーショックへの対応は迅速なアドレナリン注射しかない(アナフィラキシーショックを甘く見ないこと)
凄い量の情報だったということが、お分かりいただけますでしょうか。
書きあげてみて改めて、今井孝成先生がたくさんお話してくださったことを感じます。
みなさんは全てご存知でしたか?
「えっそうなの?!」と思うトピックも私はいくつかありました。
ここにあげた情報の更に詳しい内容は豆知識でお伝えしていきます。
その他の当日の模様は第二回の記事でお伝えします。
とても勉強になりました。
追記 ==================================
ひとつだけ私個人の考えを書かせていただきます。
それは、「先生」と呼ばれる方たち全般が、インターネットの利用に積極的でない傾向にあることについてです。
先生と呼ばれる方に共通しているのは、難解で貴重な情報を司る人たちだということ。
学問であれ、法律であれ、医学であれ、私たちは【先生】たちを通じてその恩恵にあずかってきました。
しかし、インターネットの発達によって、情報は彼らの手を経なくても一般に流布するようになりました。
確かに考証されずに情報が発信される弊害はあるのだと思います。
でも私は、多くの先生方がまだ気付いていない、誤解していることがあるような気がしているのです。
それは、先生方こそが、インターネット上で情報発信の担い手になるべき時がすでに到来しているのだ、ということです。(監修や寄稿にとどまらず、インターネットの戦略をともなった積極利用)
間違った情報を禁じたり、閲覧を制限することでは情報社会で闘うことはできません。
笑って見過ごすことも危険です。
間違った情報への有効な手段は、正しいと思うところの情報を発信し続けること、それができるだけ多くの人に見てもらえるようチェックし対策することです。
そうすれば、インターネットは賢くなります。インターネットという統合された巨大な脳は情報を食わせれば食わせるほど賢くなり、何が必要で信頼性が高い情報なのかを自ら判断することができるのです。
今後沢山の医師が(他の職種の先生方も)、インターネットでの情報発信に真剣に取り組んで行ってくださることを心から望んでいます。


