「茶のしずく石鹸」は高い保湿性を持ち、もっちりとした泡により、肌の洗浄、にきび、肌荒れを防ぐものとして使用されてきましたが、結果として、食べ物の小麦でアレルギーを引き起こしてしまう患者さんが出てくることになってしまいました。
茶のしずく石鹸による小麦アレルギー発生のメカニズム
(1)アレルゲン(アレルギーの元になるたんぱく質、今回は「茶のしずく石鹸」に含まれる加水分解コムギ(グルパール19S))が、
洗顔等によって皮膚および眼や鼻の粘膜に付着する

(2)加水分解コムギを抗原と認識し、免疫機能が働き、繰り返し使用することにより、症状が出る
眼のかゆみや皮膚のかゆみ・鼻炎症状(自覚の無い場合もあり)

(3)小麦を食べる

(4)小麦を加水分解コムギと同様の抗原と認識し、免疫機能が働き、症状が出る
眼や顔のかゆみや、腫れ、鼻炎症状などの、石鹸を使用時と同じような症状
症状が重篤な場合は、腹痛・下痢、血圧低下、ふらつき、呼吸困難などの様々な症状が出現

石鹸、シャンプー、その他の化粧品成分によるアレルギーで、じんましんや皮膚炎になるという現象は知られていましたが、「茶のしずく石鹸」がアレルギー反応を引き起こし、さらに食べ物としての小麦を摂取したときに重い症状のアレルギー反応がでるということはわかっていませんでした。
アレルギーによるアナフィラキシー(重篤な症状)を引き起こすなどの患者さんが出てきて、厚生労働省などの諸機関による確認により、「茶のしずく石鹸」に含まれる加水分解コムギがその原因だと特定されました。それを受けて、昨年(2011年)5月以降、メーカーは製品(2010年12月7日以前の販売分)の自主回収をおこなっています。
他にもいろいろな加水分解コムギを使用した化粧品やシャンプー・石鹸などの製品がありますが、それらによるアレルギー患者の発生は報告されていません。
この小麦アレルギーはここ数年前にわかってきた病気なので、直るものなのかどうかなどは不明です。
「茶のしずく石鹸」を使用していてもアレルギー症状が出ていない人も多いようですが、小麦アレルギーかどうかを確認したい方は、専門のお医者さんに診断してもらうことができます。
薬が市販されるときは薬効とともに副作用についても確認がなされているわけですが、医薬部外品である「茶のしずく石鹸」は厳密な確認がないまま販売されたものでしょうから、使用するわれわれとしては防ぎようがないことになります。
アレルギーという免疫機能にかかわる病気は、複雑ですし、また、何がアレルギーをひきおこす物質であるのかはよくわからないことですので、食に関するものについてはより慎重に取り扱われる必要があると思います。
(記事:田川)

4/12、BSジャパン、「地球アステク」で、免疫研究最先端として、
花粉症ワクチン研究とがん免疫療法の紹介がありました。
花粉症は日本人の全国平均有病率が29.8%という国民的病気で、年間の花粉症の医療費が2,006億円、マスク、市販薬が253億円(2000年)かかっている病気であるとのことです。
理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センターを訪問して、センター長の谷口克氏の話を聞くというもので、内容は以下のとおりでした。
免疫とアレルギーの仕組み
・免疫システム
自然免疫系(抗原を食べる白血球など)と獲得免疫系(抗原に対して受容体(1000兆あるとのこと)を見つけて、同じものを多数作っておき、次回の抗原進入時に反応して防ぐ)がある。
・花粉症発症の仕組み
花粉が体に入るとTh2細胞を刺激し、B細胞に命令してIgE抗体を作り、そのIgE抗体が肥満細胞に結合し、次に花粉が入ってくるとそれと結合して肥満細胞がヒスタミンを出すことにより発症する。
花粉症治療法
・対症療法(抗ヒスタミン薬によるもの)
・根本治療法(減感作療法)
減感作療法とは
天然スギ花粉抽出液を頻回注射し体を花粉に慣れさせ、アレルギー反応を起こさせなくする療法。
しかし、治療に痛みをともなう、治療期間が2年以上と長い、アナフィラキシーショックの危険があるなどの問題がある。
花粉症ワクチンとは
天然スギ花粉抽出液の代わりに、人工的に作成した花粉抗原(IgE抗体と反応しない、アナフィラキシーショックが起きにくい)をポリエチレングリコールで覆ってカプセルの中に閉じ込めて投与するというもの。また、カプセルにαガラクトシルセラミドを配合し、免疫寛容を誘導する細胞を活性化する。
動物実験で、予防効果(抗スギIgEの血中濃度の上昇抑止)、治療効果が確認されており、予防効果については製品として2019年に市場投入の予定である。
花粉症になる人とならない人
Th2細胞が多いと花粉症になる可能性が高い
花粉症ワクチンの開発の展望
2019年からの市場投入を目指して、理化学研究所、大学、製薬会社が協力して開発に取り組んでいる。今後、臨床試験、採算の見通しなどをつける。
その他、がん免疫療法の紹介など
用語集
| 好中菌 |
白血球の一種 |
| ナチュラルキラー細胞 |
がん細胞やウィルスに感染した細胞を見つけて殺す樹状細胞 |
| 樹状細胞 |
抗原情報(最近やウィルスなどの情報)を獲得免疫系に伝える |
| T細胞 |
B細胞の分化成熟、抗体産生を誘導したりする |
| B細胞 |
抗原情報にもとづき、抗体を産生する |
| 免疫記憶細胞 |
上記B細胞の一部は記憶細胞として長く残り、次回の侵入の際に素早く抗体産生が開始できるようになる
|
| NKT細胞 |
樹状細胞やT細胞、B細胞を活性化する |
| IgE抗体 |
Th2細胞により作られる免疫グロブリンの1種 |
| ヒスタミン |
肥満細胞などから放出され、鼻ではくしゃみ、鼻づまり、目ではかゆみなどを引き起こす |
| 肥満細胞 |
IgEを介したI型アレルギー反応の主体である |
| Th1細胞 |
B細胞にIgG抗体を作らせ細菌感染に対し防御反応を示す。衛生状態が悪いとTh1細胞が増え、Th2細胞が減る |
| Th2細胞 |
B細胞にIgE抗体を作らせアレルギー反応を起こす。衛生状態が良いとTh1細胞が減り、Th2細胞が増える |
| アナフィラキシーショック |
摂取したアレルゲンと体内のIgE抗体が反応して起きる急性アレルギー反応のことで、生命の危険もある |
| アレルゲン |
花粉などアレルギー反応を起こす物質、抗原 |
| αガラクトシルセラミド |
糖脂質でNKT細胞を活性化する、免疫寛容を誘導する細胞を活性化する |

根本治療としての減感作療法を、痛みが無く、短期間で、安全に行うことができる花粉症ワクチンに大いに期待が持てると感じました。
すでに長年の花粉症患者であるわたしは、抗ヒスタミン剤により症状が軽くてすんでいます。しかし、今年のように花粉の飛散が少ない年ばかりではないため、くしゃみ、鼻水、鼻つまり、目のかゆみに苦しむ年もあります。ですので、治療効果についても更なる研究が進み、前進することを望んでいます。
(記事:田川)

ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌。乳酸菌は花粉症に効くのでしょうか?
アレルギーとは免疫反応が、特定の抗原に対して過剰に起こることをいう(Wikipedia)のですが、これは本来、人体を守る免疫機能が、人体を攻撃するようになるということです。免疫の仕組みについては複雑なのでここでは触れませんが、花粉症はIgE(免疫グロブリンE)が原因となって引き起こされるものです。IgEの産生をコントロールするTh1細胞、Th2細胞のバランスが崩れることによりIgEの産生量を増加させ、引き起こされていることがわかっています。
病院での標準医療に対して民間医療を指す代替医療では、以前より乳酸菌が花粉症(アレルギー性鼻炎、結膜炎)に効くという説があり、特に口コミでは盛んに取り上げられています。
大学研究者はいろんな代替医療の効果についてのアンケートによる調査では、効果は一般的には低く、多くがプラセボ効果と考えられるとしています。
しかし、アレルギー性鼻炎
モデルマウスを用いた実験では乳酸菌の株で効果に違いがあるものの、食品として安全性が高い乳酸菌にはさまざまな免疫調整作用が認められたと報告しています。投与法では舌下投与の方が経胃管投与よりも少量でIgE産生抑制、症状抑制作用がみられ、スギ花粉症患者への試験では、花粉飛散シーズン後半に症状改善効果がみられたということです。
他方、乳酸菌飲料メーカー各社でも花粉症に対する乳酸菌の効果の研究が進められており、乳酸菌による効果があることが報告されています。その効果とは、減少していたTh1細胞を乳酸菌が増やす働きをすることによって、IgEの産生を抑制するというものです。
ヤクルトでは、「乳酸菌 シロタ株乳飲料」(ヤクルト、ジョアなど)を用いた、大阪大学などの協力による乳酸菌の効果の確認を行い、スギ花粉症に対して、症状悪化を遅らせる傾向があることが認められています。
カルピスでは、「L-92乳酸菌」(アレルケア)を用いて試験を行い、鼻のかゆみ、眼のかゆみに有意な改善が確認されています。
伊藤園では、「フェカリス菌」入り乳性飲料(朝のYoo)を用いた試験で鼻かみ回数、眼のかゆみ、鼻づまり、流涙について改善傾向が認められています。

このように乳酸菌が花粉症に対して症状を軽減する一定の効果があることがわかります。
乳酸菌が免疫バランスを整えるメカニズムは、腸管の免疫細胞を刺激するためと考えられていますが、まだ不明な点が多く、また、乳酸菌の株によって効果に違いがあると考えられ、さらに今後の研究に期待したいものです。
ブタクサアレルギーは日本ではスギ花粉症よりも一年早い1963年に初めての症例が報告されています。(厚生労働省の資料より)
ブタクサは花粉が風によって運ばれ受粉する、風媒花です。
花の受粉には、虫や鳥が媒介する植物もあります。美しい大きな花をつけたり、甘い蜜を蓄えたり、かぐわしい香りを発したりして虫や鳥を誘い花粉の運び手になってもらいます。ひとつの花にとまった虫や鳥が、別の花に触れて受粉を助けるのです。
一方風は虫や鳥と違ってただ吹いているだけですから、風媒花は受粉を確実にするために大量の花粉を生産し、花粉の形状は遠くまで飛びやすくできています。
そのため、季節が来ると大気中に大量の花粉が含まれ、人間が呼吸によって体内に取り込みます。
花粉症のアレルゲンとなっているスギやブタクサやイネなどは風媒花です。
ブタクサはセイタカアワダチソウと混同されることが多い植物です。
どちらも秋に花をつけ、花の色は黄色、小花が密集して花房を立てて咲き、背が高いことも似通っています。帰化植物であることも共通しています。
また、セイタカアワダチソウは根から毒を出してライバルである在来植物を駆逐してしまうことからもあまり良いイメージを持たれておらず、アレルゲンとして誤解されやすい要因のひとつとなっているのかもしれません。
しかし、ブタクサはスギ花粉に比べて比較的近距離にしか飛ばないといわれており、ブタクサアレルギーの症状が出るときには周辺にブタクサが生えていることが考えられますので、アレルギーの方はどのような植物なのか確認しておくと回避に役立つかもしれません。
ブタクサという名前は英名のhogweedからきているとの説 【hog(豚)+ weed(草)】がありますが、
hogweedで検索するとオオハナウド(Heracleum)の画像が大量に出てきて、別の植物のようです。
和訳する時に混同があったのではないかという見方もあります。
正確な英名はragweedです。
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